釣りをやめるサイン

釣りをやめるサイン

◇背中の盛り上がった、抜群のプロポーションの雨鱒。瀬から出た。直十(c)

釣りをしていて、フライを深く飲まれたり、あらぬ場所にスレがかりしたりして魚にひどいダメージを与えることがある。

このあいだなど、魚を掛けてバラしてしまったのだが、フックには魚の眼球がまるごと残されていた。眼球にフックが掛かってしまったその魚は、目を犠牲にして逃げていったということだ。つくづく、かわいそうなことをした。でも釣り人はフックが掛かる場所を選べないので、どうしようもない。

ジャンプした魚をバラさないように竿を瞬時に脇に倒したら、ティペットが魚の顔の肉を大きくそいでしまったことがある。たぶん魚はまもなく死んだことだろう。かわいそうなことをした。

道東の野生虹鱒をフライで釣る方法
直十(c) 【 野生虹鱒の現在 】 今や、日本において、虹鱒が普通に自然繁殖できる場所は北海道以外にない。 本州の川に虹鱒がいるとしてもそれは、養魚場から逃げたものが野生化しているか、漁......

フックがエラの白いヒダに掛かって激しくファイトしたときには、エラが裏返ったり切れたりする。損傷が大きいときは出血がひどく、魚を殺してしまうことになる。

……これは、釣りをやめて川から上がるべき【サイン】である。

もう釣りをやめて帰る時間だよ、そう川の神さまが言っている気がする。けっこうな頻度で、このサインにぼくは出会う。

釣りをはじめてから最初のうちは、このサインはあまり出ない。終盤、そろそろ日が傾きはじめるあたりで決まって発生する。このサインを無視して釣りを続けても釣果は上がらないと決まっている。

不思議だが、本当のことだ。

最近は、このサインが続くようなら、まだ陽が高くてもあっさり釣りをやめてしまう。2時半とかでも、もう帰り支度だ。

ちなみに、釣りの開始はだいたい10時くらいから。むかしみたいに早朝から川に立つことはなくなった。朝ごはんを食べてお茶を飲み、窓の外を見て、空気の匂いをかいで、今日は良さそうだと思ったらでかける。自然、釣り場に着くのは早くても9時。遠い川なら11時から釣り始めることもある。それで2時半で上がるのだから、実質3時間くらいしか釣りをしないということになるが、それでも釣果が上がってくれていれば満足して家路につける。釣れる日は短時間でも釣れるものだ。